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 米カリフォルニア州の生物情報科学ベンチャー企業、ダブルツイスト社は8日、「約6万5000個のヒト遺伝子を突き止め、インターネットで情報提供を始める」と発表した。人の全遺伝情報(ゲノム)を解読する日米欧の国際プロジェクト、ヒトゲノム計画で公表された情報をスーパーコンピューターで分析した。ヒト遺伝子はゲノムの中に約10万個あると推定され、これまでに公表されていたのは約1万個。遺伝子情報に基づく病気や薬開発の研究が加速しそうだ。
 同社によると、大手コンピューター企業のサン・マイクロシステムズとの共同事業。スーパーコンピューターで3種類の遺伝子発見ソフトを使って調べた結果が一致し、約6万5000個の遺伝子について染色体上の位置が明らかになった、としている。残りの遺伝子についても分析を進めているという。
 遺伝子情報はインターネットを通じて販売する。価格は年間500件の分析サービスを受けるのに1万ドル、遺伝子情報全体を買うのに65万ドルなど。大学の研究者には割引もあるとしている。
 ヒトゲノムの解読を日米などの公的機関と競っている遺伝情報解析会社セレラ・ジェノミクスとは異なり、ダブルツイスト社はコンピューターでの分析だけをする。情報の使用料は抑え、利用者を増やす戦略で、公的機関側も「公的データの価値を高めるもの」と歓迎している。
 ヒトの遺伝情報は、4種類の塩基と呼ばれる物質がちょうど文字のように並んでDNAに書き込まれている。
 ヒトゲノム計画は、約30億個ある塩基の配列をすべて読んでしまおうというもので、日本や欧米などの公的機関はすでに80%以上を読み終え、配列情報を公開している。この情報のどこに遺伝子が書き込まれているかを探し出すことが、国際競争になっている。
(2000.05.09.12:38)
米でヒト遺伝子6万5千個を発見、ネットで情報販売へ